築年が古いのですが売れるもの?
Q:築年が古い物件なのですが、売れるのでしょうか?
実は、不動産会社に寄せられる売却の相談では、築年が古い物件に関するものが多くなっています。建ててからそれほど年数が経っていない、いわゆる「築浅」の物件は比較的買い手がつきやすいのですが、転勤等の明確な理由がない限りは売りに出さないため、こちらの相談は少なくなります。一方、相談が多い築年の古い物件は、本当に売りにくいのでしょうか。
古くても優れた物件は数多い
築年が古い物件のことを業界では「築古」と言います。とはいえ、築何年から築古と言われるのか、明確な定義は存在しません。税法上の耐用年数は、木造住宅が22年、コンクリート造の建物で47年となっており、それを超えると築古と判断されることが多くなります。
需要が少ないことから「売りにくい」と言われる築古物件ですが、実は、首都圏を中心に取得する人が増えている、という動きも出てきています。高価な新築物件の流通量が頭打ちになっているのに対して、求めやすい価格の築古物件に注目が集まってきているとも言えるでしょう。
築古物件は建物が古くなってきている反面、恵まれた立地にあるなど優れた点を備えたものが少なくありません。そのため、建物を改善することなどで人気の物件に再生できる可能性も大いにあるわけです。
一般的には「築古物件はできるだけ早めに売却した方が良い」と言われています。建物や設備などの老朽化が進むにつれて、修繕やリフォームにかかる費用が増えていくのが、その主な理由です。とはいえ、いかなる場合でも早く売却した方がいい、というわけではありません。築古物件は資産価値が下がりきった状態にあると考えたとき、売却よりも賃貸に出す選択肢も浮上してくるからです。
立地に恵まれた物件はもちろん、再開発などが予定されている地域では住宅の需要が高まることが期待できます。そのような場合には、売却により得られる収益と、賃貸に出した場合の家賃収入のどちらが良いのか、検討してみる価値があると言えるでしょう。
いろいろと考えられる売却方法
駅から遠いなど、立地面での条件が良くない物件の場合、「更地にして売り出す」という方法があります。もともと建物が建っていた土地ですから、地盤に問題がないことは誰の目にも明らか。また、更地にすると、駐車場として活用するなど、住宅以外の利用も考えられることから買い手の幅が広がるため、「古家付き土地」よりも売りやすくなるからです。
しかし、更地にするには費用がかかります。たとえば、木造住宅の場合、解体費用だけで1坪あたり5〜6万円が相場です。これに廃材の処分費用などがプラスされます。そのため、土地の売却価格が更地にする費用を下回り、赤字になってしまっては元も子もありません。相当に不利な条件の場合以外、まずは建物付き土地から考えてみることをお勧めします。
最近、特に若い人の間で注目されているのがリフォームやリノベーションです。「それなら……」と気合を入れてピカピカの最新式に、と考えがちですが、ちょっと待ってください。
築古物件の購入を検討する人は、建物よりも立地に魅力を感じているケースが少なくありません。「気に入った場所に手頃な価格で住まいを手に入れたい」と考えている人にとって、リフォームで付加価値をつけた物件は割高に感じ、手が伸びないわけです。
立地に優れた築古物件の場合は特に、リフォームやリノベーションは控えたほうが無難でしょう。築古物件を求める人の多くは、セルフリフォームを好みます。
手を入れるなら、必要最小限の修繕やクリーニングにとどめて販売価格を抑え、購入しやすい形にするのが得策です。また、ホームインスペクション(住宅診断サービス)を実施するのも、安心感をアピールする上で効果が期待できます。
中古住宅の需要は右肩上がりですが、新築を好む我が国にあって、築古物件が不利な状況はあまり改善されていません。とはいえ、焦って売り急いでしまうようなことは避けるべき。有利な条件で売却するためには、築古物件に強い不動産会社に相談するのが重要になります。
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